DESIGN FOR SURFING

サーフボードの選び方:細部

imagine surfing with surfboard

「このボードのアウトラインの格好良さがわかるかい?」サーフショップのオーナーの言葉、
「わかる人にはわかってもらえるんだけどね」とまどっている私をよそに残念そうに呟いた

ェイパーはサーファーがどんなサーフィンをするかイメージしてサーフボードを作成する、サイズ・幅・厚みといった単純な数字の積み重ねではない。理想のマニューバを求めて思考錯誤の中、ロングボードのテールを切り落とし“ショート”なボード(FANTASTIC PLASTIC MACHINE)が作りだされたのは遠い昔。現在ではサーフスタイルをイメージしてデザインされた多様なボードモデルがあり、そのモデルからさらに特徴を引き出すためにディテールをデザインする事でサーフボードは作り上げられる。

理想のサーフボード

70年代以降サーフィンは、スポーツとしてアクションにチャレンジするパワーサーフィンと娯楽としてロングライドを楽しむフリーサーフィンの二極化が進み、サーフボードもそれぞれのサーフスタイルに合わせて進化してきた。サーフボードを選ぶときまずパワーサーフィンやフリーサーフィンと言ったサーフスタイルをイメージすると良い。そこからより操作性を上げる、スピードを求める、安定性を伸ばすといったディテールを追求すると理想のサーフボードのアウトラインが見えてくる。

DMSサーフボード

オーストラリアのDMSサーフボードはサーフスタイルに合った多彩なボードモデルを揃えている。パワーサーフィンを可能にする“パフォーマンス”、フリーサーフィンを楽しめる“ハイブリッド”。そのモデルはシェイパーのダンの仲間のトップサーファー達にテストされ、フィードバックがディテールのデザインに生かされている。
DMSのショートボードを例にしてディテールのデザインについて紹介します。他ブランドのサーフボードもディテールの仕組みは同じなので、サーフボード選びの参考になると思います。

パフォーマンスボード

パワーサーフィン

ワイデストポイント(最も幅の広い部分)は軸足近くのセンターに位置することで操作性・回転性が良くなるのでノーズからセンターにかけてシャープでテールにかけてゆるく膨らんだアウトラインが特長です。幅が狭く、厚みが薄く、ロッカー(ノーズ角度)が強いと操作性・回転性が上がり、反して浮力と安定性が劣りますが、ディテールのデザインでカバーしたり特徴を伸ばしたりします。
DMSのパフォーマンスボードの内8モデル、ベーシックなActorを基準にディテールのバリエーションを紹介。全てがオプションでカーボンラップを選択できるのでよりハイレベルなマニューバが可能になります。

Actor by DMS

DMSのパフォーマンスボードのベーシックモデル、ロッカーはノーマル、ノーズからのレールもシャープな中にソフトなカーブを持たせ安定性もありオールラオウンドなモデル。

DMS
Wave Height
2 – 8ft

Movability
5 / 5

Speed
5 / 5

Paddlepower
4 / 5

Panther by DMS

ベーシックなActorより強めのロッカーとスリムなアウトラインのより攻撃的なモデル。

DMS
Wave Height
4 – 8ft

Movability
5 / 5

Speed
4 / 5

Paddlepower
3 / 5

Supercell by DMS

ベーシックなActorより強めのロッカーの攻撃的なモデルに、幅はスリムながらノーズからのレールラインをよりソフトにすることで全体のボリュームは抑えつつ安定性と浮力を上げたモデル。

DMS
Wave Height
4 – 8ft

Movability
5 / 5

Speed
4 / 5

Paddlepower
3 / 5

Wave Warrior by DMS

ベーシックなActorよりスリムなアウトラインにすることで反応が良く、波のトップからボトムへの加速性をアップしたモデル。

DMS
Wave Height
4 – 8ft

Movability
5 / 5

Speed
4 / 5

Paddlepower
3 / 5

Crown by DMS

ベーシックなActorよりロッカーを弱くすることで浮力を上げ小波に対しても反応が良くなり、コンケーブに“テールVee”を入れることでスピードより安定性を上げたモデル、テールデザインをクラウンテールにすることでより回転性がアップします。

DMS
Wave Height
1 – 6ft

Movability
5 / 5

Speed
4 / 5

Paddlepower
4 / 5

Fat Cat by DMS

ベーシックなActorより幅と厚みを持たせボリュームを上げることで、テイクオフの反応が良くなり日本の波のアベレージサイズにマッチしたモデル。

DMS
Wave Height
1 – 6ft

Movability
4 / 5

Speed
5 / 5

Paddlepower
4 / 5

The Carny HP by DMS

ベーシックなActorと同じボリュームながらノーズからのレールラインをよりソフトにすることで全体のボリュームは抑えつつ安定性と浮力を上げたモデル。

DMS
Wave Height
1 – 8ft

Movability
4 / 5

Speed
4 / 5

Paddlepower
4 / 5

The Carny SWG by DMS

DMSのパフォーマンスボードの中で一番幅のあるボリューミーなセッティング、名前のSWG (Small Wave Groveler) の通り小波でのパフォーマンスに優れていて、テイクオフ・ドライブ・コントロールのバランスが取れたモデル。

DMS
Wave Height
1 – 4ft

Movability
3 / 5

Speed
3 / 5

Paddlepower
3 / 5

フリーサーフィン[ hybrid ]

ワイデストポイント(最も幅の広い部分)がノーズよりに、ノーズ・テールからセンターに向かって膨らんだレールのアウトラインは安定性とスムーズなターンが特長です。幅が広く、厚みがあると浮力と安定性が上がり、反して操作性・回転性が劣りますが、ボリューム(容量)があるので通常のサーフボードより短めに設定出来るので操作性を維持できます。
DMSのハイブリッドボードを中心(ハイブリッドの内5モデル+パフォーマンスボード1モデル+トラディショナル1モデル)、ベーシックなPandaを基準にディテールのバリエーションを紹介。ブランクスはPUボードでコストを抑えつつクオリティの高いライディングを実現、SlapperモデルはハイブリッドボードながらブランクスをEPS&カーボンラップに対応。

Panda by DMS

DMSのハイブリッドボードのベーシックモデル。ローロッカーによりハイスピードで、ボリュームがパドルに力を与えます。

DMS
Wave Height
2 – 8ft

Movability
4 / 5

Speed
4 / 5

Paddlepower
5 / 5

March1 by DMS

80年代のツゥインフィンをベースにローロッカーとノーズワイドな超高速性能なモデル。

DMS
Wave Height
1 – 6ft

Movability
4 / 5

Speed
4 / 5

Paddlepower
5 / 5

Slapper by DMS

ハイブリッドモデルの中で一番幅のあるボリューミーなセッティングなのでパワーの無い波でも滑り出しから瞬時にトップスピードに加速出来き小波、ビーチブレイクでも素早く反応するモデル。4’10″からのラインアップがあります。

DMS
Wave Height
1 – 4ft

Movability
4 / 5

Speed
4 / 5

Paddlepower
4 / 5

The Ferret by DMS

ベーシックなPandaとワイデストポイントの幅が同じながら厚みを抑え、テールにロッカーをつける事でよりハイスピードで回転性の高い、80年代のサーフボードにインスパイヤーを受けてデザインされたモデル。

DMS
Wave Height
1 – 6ft

Movability
4 / 5

Speed
4 / 5

Paddlepower
5 / 5

The Ferret II by DMS

デッキコンケープで操作性が上がり、反応がいいのでロングライディングが可能になるモデル。

DMS
Wave Height
1 – 6ft

Movability
4 / 5

Speed
4 / 5

Paddlepower
5 / 5

The Fly by DMS

ベーシックなPandaにロッカーをつけ回転性を上げたパフォーマンスボードながら、ボリュームは残し安定性を維持したモデル。

DMS
Wave Height
1 – 6ft

Movability
4 / 5

Speed
5 / 5

Paddlepower
5 / 5

Zephyr by DMS

70年代のクラシックシングルフィンをベースにしたトラディショナルボード、ハイブリッドに比べノーズからテールまでラウンドの緩く幅が広いので、安定したテイクオフによるスピード、波を切る様なダウン・ザ・ラインからのスムースターンとグライド感が楽しめるモデル。

DMS
Wave Height
2 – 8ft

Movability
3 / 5

Speed
4 / 5

Paddlepower
5 / 5

{脚注}

  • FANTASTIC PLASTIC MACHINE
    1960年代後半にオーストラリアでボブマクダビッシュ(Bob Mctavish)がロングボードのテールを切り落として、短いサーフボードを作り上げた。このサーフボード(ファンタスティック・プラスチック・マシーン)が、ハワイのディック・ブルーワーのミニガン、サンディエゴのマイク・ヒンソンのダウンレールと共に、ショートボード革命のきっかけとなった。
  • DMSサーフボード
    DMSサーフボードはオーストラリアのサーフブランド先進的な技術と伝統的なテイストを融合させた革新的なモデルをラインナップ。
  • シェイパーのダンの仲間
    DMSサーフボードの創始者でありマスターシェイパーのダン(Daniel MacDonal)はトップサーファーと信頼関係を築いています。
  • コンケーブ
    準備中
  • テールデザイン
    テールデザインは海面との接地面積が広ければ浮力が生まれ、テールの場合はスピードにつながります、反してタンーンでは抵抗なるので接地面積が狭い方がスムーズになります。カットを入れることで接地面積を維持しながら水抜けが良くなりターンしやすくなります。
  • カーボンラップ
    DMSの特許取得済みのカーボンラップ構造は、標準的な木製のストリンガーを排除し、EPSフォームの従来持っているフレックス性を活かし増幅させるテクノロジー。

2016年03月05日