DESIGN FOR THEATERGOING
summary
幼い頃から頁を捲るのが好きだった
あの指先の感触、音、紙の匂い
そして珈琲の匂い
それら全てが想像力を掻き立てる
その世界に行ける
だから、たくさん捲った
捲りながら想った
いつか自分も、世界を創りたい ──
売れない小説家33歳、巡(めぐる)。
只今、絶賛人生崖っぷち。
極上の世界を求めもがき苦しむ日々。
母の七回忌に実家に訪れ、
書斎でふと見つけた一冊の自伝。
誰が書いた物かは不明だが、
巡はおもむろに手に取り、捲り始める。
捲り続けるうちに、
時間を忘れ自伝にのめり込んで行く。
捲り、想い、捲る。
また想う。
そして知る事となる。
この自伝を書いたのは、父。
幼き頃に亡くなったと聞かされていた父が、
実は生きていたと。
母が父の存在を隠し続けた理由。
父は、人を、殺した。
想像と現実、過去と現在、
いつしか重なる二つの空間。
守る為に生きた人々の、熱き想い。
── 想いは巡り、甦る。
─── 事実は小説よりも奇なり ───