DESIGN FOR THEATERGOING
私が”それ”を拾ってから、もうすぐ一年になる。
ドヴォルザークが流れる郊外の公団住宅で、ボロボロの毛布にくるまった”それ”は静かに震えていた。
オレンジ色の髪が太陽のように眩しくて、私は思わず目を背けた。
あれから一年。
星はまた巡り、東京から遠く離れたこの街で今日も太陽が沈むだろう。
トオキヤマニヒハオチテ
ホシハソラヲチリバメヌ
太陽を目指して飛ぶものはいつも、太陽となって墜ちてくる。
ドヴォルザークの流れる郊外の公団住宅。
赤い星の旅客機が空を滑り、飛べない私が地に這い蹲る夕暮れ。
燃えさかる太陽を背に、”それ”はゆっくりと没落してゆく。