DESIGN FOR THEATERGOING
1958年、大阪砲兵工廠跡地。大阪城が見下ろすこの場所に、その「廃墟」は存在した。
かつて、アジア最大とも言われた兵器工場は終戦間際、大規模な空襲を受けて、見渡す限り巨大なコンクリートと鉄骨の、瓦礫の山と化していた。そしてこの「廃墟」に夜な夜な侵入し、鉄屑を掘り起こし、それを売って生活の糧とする朝鮮人集団がいた。通称「アパッチ族」 ―しかし鉄屑は国有財産。ついに警察が取り締まりを始める。漆黒の闇の廃墟で、警察とアパッチ族の戦いが過熱していく。それは、日本の中で身を寄せ合うようにして暮らしていた在日朝鮮人たちの、生きるための戦いであった。