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名家、綿小路家の当主であるナオチカ公爵は相当な癇癪持ち。
どんな使用人も長続きしない。そこでついに「完璧なる執事」鎌塚アカシの出番となった。
さすがはアカシ。十手先を読む仕事ぶりで、公爵に怒鳴る隙を与えない。
そんな公爵には探偵小説にのめり込む一人娘のチタルがいる。
アカシにとっては主人のナオチカよりもこのチタルの方が扱いにくい。
彼女は、昼間に何度も眠りに落ちる特異体質だったのだ。
屋敷に出入りする者の中に、チタルの母方の叔父、鬼集院ヤサブロウ伯爵がいる。
毒舌家で誰の目にも嫌なやつだ。自分の姉(チタルの母)が早死にしたのを公爵のせいにして恨んでいる。チタルはこの叔父が大嫌いだった。
ある日、綿小路家に大事件が起きる。
ナオチカ公爵が、屋敷の倉庫の中で遺体となって見つかったのである。
遺体の背中にはナイフが深く刺さっていて、殺人事件であるのは明白。
ところが発見当時、その部屋のドアには内側から鍵が掛かっており、
つまり完全な密室殺人だったのである。
警察はすぐにさじを投げてしまうが、一人娘でしかも探偵かぶれのチタル、
そして「完璧なる執事」鎌塚アカシが黙っているわけがない。
かくして二人の捜査が始まる。容疑者はもちろんヤサブロウ伯爵だ。
アカシとチタルは、伯爵の犯行の証拠を突き止めるべく、
庭師のくせに草木をすぐに枯らしてしまう毛呂ヨシミと、同時に二つのことが出来ない
料理女中・太田代テマリに協力を仰ぎながら屋敷中を駆け回る。
一方、自分に容疑がかけられていると知ったヤサブロウ伯爵は、
従者の宇佐スミキチにアカシとチタルの捜査を妨害するように命じる。
アカシとチタルの捜査は、何度となく脇道にそれつつも、徐々に核心へと近づいていく。
果たして密室殺人の謎は解けるのか? 真犯人は誰なのか……?