日光浴はエネルギーの生産、体内時計の調整、必要栄養素の合成、睡眠と目覚めの切替えなどに重要な役割をしています。
皮膚がんを気にして肌の露出を避ける方が多いようですが、日本人の皮膚がんの罹患数は低く、むしろ日光浴をしない方が、体調を崩したり、がんになる要因になると私は考えています。それでも日焼けを気にされる方は、太陽の光の到達距離が長い朝方に屋外に出たり、自分の肌が赤くなり始める時間(通常20分)を調べておき屋外にいる時間を調整できるようにしておくと良いでしょう。
日光浴は植物にとっては生命エネルギーを生み出す光合成の源ですが、人にとっても同じような役割があります。人の身体の細胞の中にはミトコンドリアが共生しています。このミトコンドリアが宿主の生物の生命活動のエネルギーを生み出しています。太陽光線はこのミトコンドリアの活動を活性化させます。
身体の器官は体内時計で管理されています。体内時計を正確に動かすためには朝、太陽の光を浴びて頭の前頭葉の下にある視床下部に刺激を与える必要があるのです。家の中で暮らしている私たちですが電気の光は直視で800ルクス、通常の視線では400ルクスくらいですが、視床下部には2,500ルクス以上の光が2時間以上必要です。太陽の光は晴天時の屋外で10数万ルクス、室内の窓際でも8,000ルクスと必要な光量を満たしています。
身体の中で多様な機能の交通整理をしているのがホルモンです。睡眠に関する整理をしているのがメラトニンと言うホルモンで、脳の松果体から分泌されて睡眠に適した状態にします。朝スッキリ目覚め活動するにはこのメラトニンの分泌を抑える必要があり、それをするのが太陽の光の刺激です。また日光浴では幸せホルモンとして知られるセロトニンの分泌を高めます。朝快適に起きて夜熟睡するという生活は1日のメラトニンとセロトニンの分泌を増やします。メラトニンとセロトニンは細胞を傷つける活性酸素を除去する抗酸化物質でもあると言われています。
ビタミンは生きていくのに必要な栄養素(炭水化物、タンパク質、脂質以外の有機化合物)のことでほとんどが体内で合成出来ないので食料から摂取しなければなりません。ただ人のビタミン13種の内、ビタミンDは太陽の光に皮膚をさらすことで生成されて皮膚から吸収されます。ビタミンDはカルシウムの吸収に関わる栄養素です。